腎臓内科

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腎臓の最もよく知られた役割は尿を作ることだと思います。腎機能が正常の方は腎臓で尿を作ることにより無意識のうちに体の水分量やナトリウム、カリウムなどのミネラルのバランス、血液のpHの調整などを行っています(このことを「恒常性の維持」と言います)。また、腎臓には尿を作る以外にも血圧の調整、赤血球の産生(貧血を防ぐ)、ビタミンDを活性化し骨を丈夫にするなどの機能があります。当診療科は、腎臓の機能をできるだけ維持、あるいは改善することを目的に診察・検査・治療を行っていきます。

腎臓病は、自覚症状が現れにくいと言われます。健康診断等で行われる尿検査や採血検査の結果から、初めて腎臓病であることに気付くことも多いです。この場合、これといった自覚症状がなかったとしても、何らかの腎臓疾患の可能性がありますので、速やかに腎臓内科をご受診されることをおすすめします。

慢性腎臓病(CKD)

日本では慢性腎臓病(CKD)の患者様が約1,300万人程度いると言われています。CKDとは尿所見異常(特にたんぱく尿が重要とされています)・画像所見など腎障害が明らかな状態、または、腎機能が低下している状態が3ヵ月以上持続していることを言います。原因としては、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、糸球体腎炎、自己免疫疾患、多発性のう胞腎などが挙げられます。CKDは進行すると、最終的には腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植)が必要となってしまいます。腎臓病の進行を少しでも遅らせるため、異常に気づいたら速やかにご来院ください。

腎代替療法

腎不全が進行し、自分の腎臓で水分や老廃物の排泄が適切に行えなくなった場合には、腎代替療法という腎臓の代わりになる治療を検討していくことになります。具体的には、腹膜透析、血液透析、腎移植の3つの方法があり、十分な情報提供を行った上で患者様一人一人に最も適した治療法を検討して選択します。

腹膜透析

当院での施行が可能です。詳しくはこちらのページをご覧ください。

血液透析

患者様の状態により変化しますが、週3回(月水金または火木土)、1回4時間の治療が一般的です。透析に使用できる血管を作るための手術が必要です(利き手でない方の腕に行うことが多いです)。血液透析の導入が近くなった患者様は、近隣の対応可能な病院に紹介させていただき、導入後落ち着きましたら、通いやすいクリニックに通院していただくことが多いです。クリニックにもよりますが、送迎の対応をしているところもあります。

腎移植

生体腎移植と献腎移植の2つの方法があります。生体腎移植は親、配偶者などから片方の腎臓を摘出し、患者様に移植をします。献腎移植は生前に提供意思を示されていた方が脳死または心停止になった際に、その方の腎臓を摘出し移植を行います。どちらの方法も術後は免疫抑制剤の内服が必要になりますが、通院などの制約は少なく、社会復帰がしやすい治療法です。
腎不全が進行した際、透析が必要になる前に生体腎移植を行うこともあります(PEKT)。腎移植がすぐに行えない場合は一旦腹膜透析または血液透析を行った後に腎移植を行うこともあります。
腎移植を希望される患者様には、移植の対応が可能な病院を紹介させていただきます。

多発性のう胞腎

当院では多発性のう胞腎の治療薬であるサムスカ錠®の処方が可能です。肝機能障害や血清ナトリウム値の異常を引き起こすことがあり、定期的な採血検査が必要です。多発性のう胞腎は脳動脈瘤を合併することが知られており、当院通院中の患者様であっても、数年に1度、近隣の病院で頭部MRI検査を受けていただくことをおすすめします。タイミングにつきましては患者様と相談の上、決定させていただきます。

以下のような症状があれば、一度ご受診ください

  • 身体にむくみがみられる
  • 尿が泡立っている
  • 原因が特定できない倦怠感がある
  • 尿検査でたんぱく尿や血尿を指摘された
  • 血液検査で血清クレアチニン値の上昇やeGFRの低下を指摘された
など

腎臓内科で取り扱う主な疾患

急性腎不全、慢性腎不全、慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)、ネフローゼ症候群、高血圧症、多発性のう胞腎 など